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マンガ読むのが好きです

「フルーツバスケット」(23) 高屋奈月 白泉社





フルーツバスケットが終わりました。




全23巻。最初の本が出て9年くらいかな?
途中作者の方が病気治療の為に休載になってるので
実時間はもう少し短いのでしょうけど。
一応最初の巻が出てすぐに読んでるので
単行本では最初から最後まで追いかけていた作品です。




さて最終刊ですが
うん。良かった。


ほんとに良かったといえる作品でした。
透君を中心に物語が始まり、そして終わりました。




綺麗な作品です。
この作品に出会えて良かったです。




連載中にはドラマCD、そして別キャストによるTVアニメに
なりましたが、このアニメの完成度も連載続行中の作品を
アニメ化したにしては非常に上手く作られていました。
特にOPの秀逸さは少女漫画作品のアニメ化された中では
秀逸のものがあったと思います。
岡崎律子さんの優しく、静かで、暖かい声の感じが
まさに作品世界を具現化したかのようですし、
その静かな中で登場人物の殆どが遠景で描かれ、
最後に透君の横顔とお母さんの今日子さんの笑顔で
締めるところなんか、非常に象徴的に表していて。
派手じゃないけど、屈指のOPだと思います。
アニメ本編も非常に丁寧に作られていて大地カントクの
本領発揮な感じでしたし。
そういう意味では恵まれてるなぁと。
繰り返しになりますがもともと“連載途中”のアニメ化って
ハンデを負ってのアニメ化ですしね。一話完結ならともかく。




閑話休題
漫画の話をします。
(今バッッググラウンドでは、フルバのOPを
延々リピートしてますので、つい(笑))




さて。
最終巻はエピローグです。前巻で全ての災いが去り、
その後が語られます。
物語は静かに、淡々と。
でも確実に前に向かって進んでいきます。
1人1人、透君と関わった登場人物達が振り返りながら
自分の行く先を思う、そんな構成になってます。




今まで頑張ってきた反面、読んでてかなり幸せです。
皆苦労してきたんだもの。これくらい、これくらい。




どの登場人物たちも、大なり小なり透君に影響され
その結果、今があるんだもんなぁ。
そんな彼女の幸せを皆が祈ってる様子が見て取れて
なんだか嬉しくなってきます。
良かったね。ほんとに良かったって。
透君が頑張ってきた事は無駄じゃなかったんだって。




それにしても、丸ごとエピローグな今巻は
もともとエピローグ好き好きにはたまらないものがありました。
確かに作品が長くなってますし、じっくりじんわりと
作品の幕引きを楽しめて、すごく感無量です。




途中、ツライところがありましたけど。
いや。いつかは確かに語らなければならない事ですし。
でも、さすがにあの描き方はツライ。
本誌で連載中に読んでた人にはホント辛かったんじゃないかな。
でも、必要なエピソードですし、全ての始まりですし。
―――やっぱりつらいな、135話。




今巻でそれぞれの理由で皆、旅だっていきました。
先に進むのに必要な“旅立ち”
そんなスタートを最後にお話は終わります。
ひとつの終わりはひとつの始まり、ですね。




フルバは1作品として非常にバランスの良い作品でした。
シリアスで。叙情的で。そして息苦しくなりそうなところで
コミカルなシーンがあったりして。
胸がつまりそうに心苦しくなった時に、アレにはほんと
救われたような気がします。ほんとバランス良すぎです。




中身をちょっと。


まぁなんだ。少女漫画的お約束で
「最終回までに成立出来る限りはカップリングを」
ってのが ここまでビシっと決めてたりして。
心地よいです(笑)
まぁ、皆幸せになって欲しいって現れでもありますけど
そこでこうくるかってキャラもいたりして。
いや、花ちゃんの事なんですけどね(笑)
最初は冗談だと思ってたんだけどなー(^^;
ま、でもあの師匠は確かに望みが叶ったら
昇天しちゃいそうなはかなげなところがあったので、
そういう意味では花ちゃんが多少強引にでも
師匠ともども幸せになってくれるのなら―――くっ(笑)


うおちゃんは透君が孤軍奮闘してうまくいきましたね。


で、やっぱり意外だったのはやっぱり紫呉なのかなー。
何を考えてるキャラか解らないってのは
ほんとに解らなかった。というか本気だったのか?とか
ほんとに本心なのか?とそういう感じで
振り回されてた感はあります。心に虚無を抱えたキャラは
扱いに困る感じですね(^^;


真知も登場当初からしたらかなりしっくりいった感じします。
え?このカップリング?と不安だったもの(笑)
大人の階段―――いや、確かに由希だったらスグに!(笑)


はとりも巧くいってるなーって感じで。
先生が昔の―――ってのは多少強引かなとは思いますが。




全員分は書けないので、ちょい割愛して―――




そして、由希―――フルバのもう1人の主人公。
途中で退場、っていうか一歩ひいちゃったけど。
作者も難産だったみたいで。確かになかなか吹っ切れるまで
時間かかってますしね。
お母さん的―――という表現で透君を語ってましたが
確かに透君の母性に解放されたところがありましたしね。
全ての登場人物に救いを求めると、
夾よりもちょっとだけ前進した彼の方が他人と接触してゆくのに
耐性が出来ていたのでしょうね。
その点、夾には透君が必要だったワケで。
まぁ、おかげで真知のようなキャラも出てきたワケですし。
それはそれで良かったのではないかと。
なんだかんだで幸せそうだしな!(笑)
にしても由希の希望って京都の大学?だよな。多分。
何なんだろう興味あるものって。やっぱ歴史関係とか
伝説とかそういう関係かな?民俗学とか?




でもって透君。
試験の終わって夾に駆け寄って行った時の
あの表情観てたら―――あーもう!しょうがないなって
感じで、許すしかない感じで(笑)
花ちゃんとうおちゃんの気持ちが痛い程良く解ったです。
娘を嫁に出すようなものかねぇ(笑)
「一緒に」って言われて即答するくらい
幸せなんでしょうし、ね。




そして最後の最後―――ここまで描くのは賛否両論
あるでしょうけど、個人的にはすごく良かったです。
ちょっとズルイ気もしますけどね。
最後の最後までって確かめる事が出来ましたし。


で、結局娘?息子?(笑)
一緒に住んでるって事は息子か(^^;
娘だったら夾が「結婚など許さーん」とかありそうだけど(笑)
あ、1人息子とは限らないか(^^;
―――と、そんな風に想像も出来ますしね。






フルバは“強制ではない優しさ”に満ちあふれていた作品でした。
多分今後も何度も読み返す作品になるでしょう。
そういう意味では作者さんの「スルメのような作品」に
なったのだと思います。最後がこんなに幸せだからこそ
何度も読み返す、そこに辿り着きたくてよみかえす、
そんな作品に。




ほんと、素敵な作品をありがとうと言いたいです。




うん、こういう作品と出会えるから
漫画読みは止められないんやね。


“心”の栄養になる―――“身に付く”作品に、
また出会いたいです、はい。


フルーツバスケット 23 (花とゆめCOMICS)

フルーツバスケット 23 (花とゆめCOMICS)

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